電話の向こう側

『どこから手を付けてよいのか…、どうしたらよいのか分からなくて…』

受話器の向こうから聞こえてきた、女性のお客様の第一声でした。

私は今は現場を離れて、お客様からのご依頼の電話の対応をしたり、予約の管理などをしたりするのが仕事です。
ただ、少し前までは私もたくさんのお客様のお片付けのお手伝いなどに携わってきました。
そして、先ほどの『どうしたらよいのか分からなくて…』とのご相談を受け、真っ先に思い出したお客様がいます。

以前私が担当した女性のお客様の話なのですが、電話の方同様にいわゆる『ゴミ屋敷』となってしまったお部屋のお片付けのご依頼でした。

電話しようかどうかで何日もお悩みになり、そしてやっとの思いでお電話された…との事でした。
お客様のお宅へ訪問し、色々と経緯や現状の事などを話していくうちに、目に溜められていた涙を流されていました。
部屋を見られることさえ恥ずかしいのに、それが女性ともなればよっぽど勇気が必要だったと思います。

私は一言、『もう大丈夫ですよ。』とだけ言いました。

『大丈夫ですよ』というのは、私がお手伝いするから”大丈夫”…、という意味ではありません。
今まで色々な理由から片付けられなかったお客様が、片付けよう!という気持ちになってお電話されたから”大丈夫”なのです。
あとは『どこから?』とか『どうやって?』というやり方が分からないだけなのです。
我々の仕事は、そういった悩んでいらっしゃるお客様のお手伝いをすることだと自負しております。

長らく付き合っていた彼氏との婚約解消からのストレス。
そして、そこから暴飲暴食、買い物依存症によって綺麗だった部屋もゴミ屋敷に…。

『また、友達を呼んで一緒に遊べる部屋にしたいです…』
『かしこまりました。私にお手伝いさせて下さい!』

その後、全てのゴミが片付き綺麗に掃除された部屋を見て、またお客様は涙を流されていました。
ただ、今度の涙は嬉しさからの涙でした。

それから何か月か過ぎたある日、ある用件で再度そのお客様のお宅に伺う機会がありました。
チャイムを押して開いたドアの向こう側は……

綺麗に磨かれたフローリングの床、シミひとつ無いカーテンが風で揺れている光景でした。
あの部屋の面影はどこにもありません。
お客様は完全に立ち直られたのでした。
今では友達が来ると、一緒にご飯を作ったり宿泊していったりするんだと、満面の笑顔で自慢げに話されていました。

恥ずかしい、人に言えない…、みんな色々と悩みを抱えてらっしゃると思います。
もし少しでも電話を掛ける勇気があるのなら、変わることが出来ると思っております。
いまだ悩んでる方がいらっしゃいましたら、電話してみてください。

我々が全力でお手伝いさせていただきます!

 

gomiyashiki

 

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